研究概要 |
本科学研究費による研究成果は以下の通りである. 1,リモートセンシングデータに基づく植物の生態分布のechelon構造分析 東京都心における緑地と人口密度の空間構造及びそれらの関連について調べ,人口の過疎及び緑地の全体的な階層的な位相構造が示された.これらの結果はCommunity Ecology誌に掲載された. 2.大容量データに対するechelon構造分析 リモートセンシングデータのような大容量データの解析を行うため,echelon treeをlimbとboughに階層的に分解し,これら値に基づく4つのプロフィールdivergence, scope, bunching, stackingの定義した.また,具体的なリモートセンシングデータに対して4つのプロフィールに基づく構造分析を行い,バンフの国際会議で公表された. 3.都道府県データに対するechelon構造分析 各都道府県の隣接情報を与えることによって,echelonデンドログラムを構築が可能であることを示すと共に,都道府県別人口及び日本酒の消費量データに基づきこれらの位相的な構造の把握を行った.これらの結果は,第7回日中統計会議において公表された. 4.分割表データに対するechelon構造分析 分割表データにおいて,行や列が順序尺度で与えられる場合は,空間データとみなせechelon解析が行える.岡山県の交通事故による死亡者数を基に,交通事故死データの構造の分析を行った.この結果は,第53回国際統計会議において公表された. 5.地域データに対するechelon構造分析とホットスポットの検出 対象とする地域がいくつかの区画に分割されている場合,データが区画内全体で得られる時は,区画間の隣接情報に基づきechelon解析が行えることを示した.さらに,具体的にNorth Carolina州の100区画(county)における乳児突然死数データに対して,echelonデンドログラムを作成した.また,この構造に基づいた空間スキャン統計量を計算することにより,種々の形状に対する有意に集積性がみられる地域(ホットスポット)を検出できることを示した.これらの結果は,アメリカ統計学合同会議における招待講演,第4回アジア計算機統計学会における講演によって公表された. また,Environmental and Ecological Statistics誌において公表される予定である.
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