研究概要 |
本研究は,生体の免疫系で行なわれている作用のなかで免疫応答によるネットワークに着目し,モデル化を行なってきた。免疫応答を再現には、その中心的な働きをする,B細胞及びT細胞による相互作用をモデル化することにより免疫応答を再現した. 提案したモデルでは,生体の免疫システムの性質である1次及び2次応答の特性を同様に示すことができ,生体の免疫システムのモデルとしては妥当なものであることがシミュレーションにより確認できた. また,工学的な応用としては,免疫系の本来持っている機能である抗原の認識及び記憶能力を用いたパターン認識システムを構成し,免疫的ネットワークの工学的応用方法を提案した. 更に,本研究ではB細胞間の相互作用を取り入れることにより,より生体の免疫系に近いモデルを構成し,なおかつ,パターン認識に応用した際には,提案したモデルではパターンの認識を行なうB細胞群に機能を与えることができ,獲得される記憶パターンに違いを与え認識率の向上が得られた. 最後に本研究ではクローン選択説による作用を取り入れることにより,免疫ネットワークを構成する細胞群の自己組織化を新にとり入れ,より生体の免疫系に近づけるとともに,パターン認識に応用した際には,提案したモデルでは獲得される記憶に違いを与えることができ,生成されるカテゴリ数を抑制し、効率良く記憶カテゴリを作成できることを示した.
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