研究概要 |
本研究では,概念階層関係などの蓄積に利用される木構造データベースに関して,データベースの構築目的が同じでも異なる考え方で構築されている場合があることに着目し,二つの異種木構造データベースを効果的に利用するための制約問合せ処理の基礎技術について研究を行った.そして,以下の研究成果が得られた. (1)我々が扱った制約問合せでは,各データベースから部分木の選択および選択された2つの部分木から構成されるグラフに対する最小交差を要求する制約式として表現できることがわかった.また,この制約式は,空間データベースを扱う従来の制約式とは異なり,最小交差を表現するための順序関係を計算する制約式であることがわかった. (2)このグラフ対して最小交差を求めるためのデータ構造として,部分木の葉節点部分を結合行列で表現した.この結合行列を単位行列に近づけることは,最小交差に近づけることと同等であり,そのためには深さ優先探索法が利用できる.我々の深さ優先探索では,部分木の枝の間にゼロ交差を維持する機能が含まれている. (3)制約問合せ処理の結果に対して,どこからでもビジュアルな閲覧を可能にするために,Java言語を用いたWebシステムを提案した.このWebシステムを利用すると,制約問合せ処理の結果として得られる最小交差のグラフの利用が簡単になることがわかった. (4)グラフの最小交差の計算をさらに高速化するために,遺伝的アルゴリズムを導入する方法を検討した.その結果,深さ優先探索法と組み合わせて利用することにより計算速度の向上が期待できることがわかった. (5)データベースの巨大化に伴い,制約問合せ処理の結果としてのグラフのサイズも大きくなる.計算速度向上のため,グラフの最小交差の計算に利用されている深さ優先探索法を複数台のPCで計算するための基礎技術の研究が重要である.ここでは,通常の深さ優先探索法を1クラスターのコンピュータ(ネットワークで接続された8台のPC)で計算する方法を検討した.その結果,簡単な実験によりPCの台数効果を得ることができた.
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