研究概要 |
Webに代表されるオンライン情報の普及によって,自宅やオフィスにいながらにして,世界中の情報にアクセスが可能になった.しかし,キーボードリテラシーのない人や非晴眼者は情報弱者となりつつある.そこで,コンピュータ利用におけるキーボード入力・画面表示というバリアーを克服する方式の提案は社会・的意義が大きい. 本研究は,上記問題に対する解決策の1つとして,音声入出力を用いた情報検索システムの研究開発を行い,実験によってその有効性を評価した. 従来の音声認識・対話に関する研究は,主に認識用辞書の規模の問題のために,比較的限られた分野に適用されることが多かった.それに対して,テキスト情報検索の研究では,Webのような異種分野文書群を対象に,一般的文書から専門的文書まで幅広い分野を扱う研究が行われている.本研究は,音声研究と情報検索における語彙の規模に関する齟齬を埋める手法を開発した. Web上の外国語文書へのアクセスは,コンピュータ利用者にとっては今や日常的になっている.しかし,外国語文書を検索するための有効なキーワードを特定することは一般ユーザにとって必ずしも容易な作業ではないため,情報を十分に活用できていないのが現状である.本研究では,多言語検索・言語横断検索の基礎技術を導入することで,上記問題の解消を行った. わが国では,音声処理・情報検索・自然言語処理などの分野が「言葉」という共通の対象を扱っているにも拘らず,研究者相互の協力体制が諸外国に比べると希薄である.そこで,個々の分野での成果をどのように統合すればよいのか、そもそも統合する際にどのような問題があるのかさえも研究者ベースでは分かりにくくなっている.本研究を通して,音声処理と情報検索を統合する上での研究課題を特定し,以降の広い意味での言語処理研究に貢献した.
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