研究概要 |
サプライチェーンマネジメント(SCM)の目標は供給から顧客にいたる物流を最適化することにある。従って、研究上、供給サイドと需要サイドの研究とその統合を図らなければならない。特に、本研究では、物流における時間の要素が重要となる短期寿命製品に着目した。 供給と需要の統合管理という観点からは、日本オペレーションズ・リサーチ学会の2000年秋季研究発表会で日米産業界での取り組みをふまえて、SCM研究の枠組みについて発表した。Cohen, Ho, and Matso(2000)ではハイテク製品の需要パターンがDiffusion Dynamicsに従うという本研究代表者の研究結果をもとに、それに対応する生産計画のあり方について論じた。顧客のセグメント化と在庫管理論の統合に関しても、米国のパーソナルコンピュータの会社で入手したデータを基に、理論を構築し検証し、その結果は現在、学術雑誌に投稿中である。 SCMに関連した顧客情報の研究では、小野、松尾(2000)で、インターネットを用いたオンラインショッピングにおいて顧客のプラウジジグ時に収集されるデータより、顧客の製品選好に関する情報を抽出する方法を提案した。 製造サイドの研究では、Ahmadi and Matsuo(2000)において、短期寿命製品の製造にはその需要の激しい変動のために適さないとされていたプル生産方式を実現するための数理計画法に基づくミニライン・アプローチを開発した。また、Bordoloi and Matsuo(2001)では短期寿命の製品にかかわるハイテク企業における人的資源量の学習をふまえた管理方法を考案した。スケジューリング・シンポジウム2001では、SCMの観点からスケジューリングモデルの位置付けを行った。 短期寿命製品の需要サイドと供給サイドのオペレーションの統合についての研究をしていくと,情報ネットワークの革新が企業形態に与える影響の重要性が強く認識された.そこで,SCMにおける情報ネットワークを利用した新しいビジネスモデルの形態に着目して研究を進めた.上田,松尾(2001)ではビジネスモデル特許の分類方法を提案した。
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