研究概要 |
本研究では,複雑系理論による複合的社会システムの分析とそのリスク管理への応用について研究を進め,(1)複合的社会におけるリスク分析,リスク管理の現状分析,(2)複雑系によるシステム挙動の逐次観測とその移行過程(自己組織化)の解明,(3)経済社会のマクロレベルでのシステム記述と複雑系理論による予測と動的最適化の3つの分野について研究実績を残すことができた。具体的には,複合的社会システムの現状を自己組織的なダイナミカルモデルとして定式化することを基本方針として進め,不完備情報のもとでの予測理論,GA,カオス・フラクタル理論により分析の基本的手法を確立した。推論ルールの具体的な記述方法として多段ファジイなどの言語的システムを考察し動的最適化の理論を適用した。更に,企業における動的環境におけるリスク管理の現状,意思決定のありかた,公共政策における決定プロセスを事例として集積した。多量のデータからリスク管理に有効な多段ファジイルールを構成する場合の帰納的学習の基礎理論を遺伝的アルゴリズムを用いて開発した。不確実情報を含む計画問題の経済社会システムへの適用として結合ネットワークとして表現されたマクロ経済モデルをとりあげ,複雑系理論および動的計画法の理論に関する現在までの成果を応用した。 以上の研究について、日本国内および海外の研究者との相互討論を行うと同時に,得られた結果を日本オペレーションズリサーチ学会,情報処理学会,日本経営工学会,経営情報学会等の研究会および学会誌等で随時公表した。
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