研究概要 |
時間割にはさまざまなものがあり,また,時間割にはさまざまな要望を取り入れないといけないという制約がある.これらを整理するというのがまず最初のステップであった.時間割はその上でサービスを受けるもの(学生,受講者,患者など),その上でサービスを行う者(教員,発表者,医者など)およびサービスを行う組織(学校,学会,病院など)を考える必要があると考えた.そこで,これらの別々の立場からの希望を受け入れ,それらをハード制約およびソフト制約に分けて考え,時間割を構成する方法をまとめた. 次に,学会時間割編成の研究を行った.学会時間割は,多数の発表論文を数日間の並列セッションに割り当てる割り当て問題である.ハード制約としては,同じ発表者が同じ時間帯の別のセッションで同時に発表することがないようにすることである.また,ソフト制約としては,なるべく類似の論文を同じセッションに配置すること,同じ部屋で類似するセッションが継続的に行われること,同じ時間帯にあまり類似するセッションがパラレルに開かれないようにすることなどである.FalkenauerのGGAをベースにした方法と,Kohonenの自己組織化マップ(SOM)をベースにした方法の2つを提案した.GGAでは,問題を2段階のGGAを続けて行うように分割した.ハード制約を回避する方法として,論文・セッションを配置後,可能な場所に移動するという方法をとったが,この手法を用いれば,同じ時間帯の別の部屋に同一発表者の論文が配置される可能性は低い.次に,SOMをベースにした方法においては,SOMのグリッドをそのままセッションとして扱う方法を提案した.まだ改善の余地はあるが,新しい編成方法の提案として注目されている.
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