研究概要 |
固体酸化物形燃料電池には未燃の燃料が必要なのに対して,クローズドサイクルMHD発電機は高温の熱があれば運転できるので,システムの構成は,まず燃料電池で発電した後,その未燃分の燃料を燃焼させて発生した熱を電池内部での発熱とともにMHD発電サイクルで回収・発電するというものになる.まず,燃料電池の酸化剤として通常通り空気を用いる場合について検討を行った.この場合,燃料電池の排燃料ガスを排酸化剤ガスで燃焼させてMHD発電機の最適入口温度にまで昇温するためには,燃料電池の燃料利用率を大幅に下げる必要があり,その効率が低くなるので,総合発電効率は従来から提案されている燃料電池・ガスタービン複合発電システムと大差無いことがわかった.しかし,酸化剤として空気ではなく純酸素を用いると,燃料電池の燃料利用率が高くても燃焼ガスの温度をMHD発電機の最適入口温度にまで昇温することができ,しかも排出される炭酸ガスの液化回収も容易に行うことができる.そこで,本研究では,純酸素を酸化剤とし,トッピングサイクルとして固体酸化物形燃料電池を,一方ボトミングサイクルとしてクローズドサイクルMHD・希ガスタービンサイクルを用いる複合発電システムを,炭酸ガス液化回収式の高効率化石燃料発電システムとして提案し,天然ガス(メタン)を燃料とする場合についてその性能の検討を行った.その結果,本複合発電システムの総合発電効率は,酸素製造と炭酸ガス液化に必要な電力および動力を考慮しなければメタンのHHV基準で71.24%(LHV基準では79.06%),それらを考慮してもHHV基準で63.24%(LHV基準では70.18%)に達することがわかった.この結果より,本複合発電システムが,炭酸ガスの液化回収と超高効率の両方を同時に実現可能な優れた発電システムであり,将来の実用化を目指して研究・開発を進めていく価値が十分あるものであることを確認できた.
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