研究概要 |
ピレン資化性細菌Mycobacterium sp.H2-5をピレンを炭素源として培養し、集菌後菌体を破砕してピレン酸化酵素を抽出した。酵素活性はpH7のリン酸緩衝液中300Cて1hr反応させた。反応液をジクロロメタンで抽出し、HPLC分析して基質であるピレンの減少度を測定することによって決定した。活性の発現にはNADPHかつMgC1_2の添加が必須であった。酵素の基質であるピレンは菌の生育基質でもあるため洗浄しても破砕液中にかなりの濃度で含まれていた。菌体破砕液を4℃ 15,000rpmで15min遠心分離した上清をさらに130,000xgで60min超遠心分離して沈殿(膜画分)と上清(サイトゾル)に分けた。ピレン減少活性は膜画分に量も多く存在した。ピレン酸化酵素が膜画分にあり、遠心による分画で得られた画分の活性が弱くなるので、ピレン酸化酵素以外の成分が必要である可能性が高いことから、本酵素はチトクロームP-450(CYP450)ファミリーに属するものであると予想した。しかし、CYP450の阻害剤であるaminobenzotriazoleやmiconazoleの存在下での活性測定では明確な結果は得られなかった。CYP450様の酵素であるとすると、活性が複数の他タンパクに依存することから、それらに依存しない活性測定法として酸化剤や電子供与体を添加する系を考えたが、assay法の確立のためには、なお課題を残した。しかしながら、NADPHに代わる電子供与体の結果などに、assay法確立への足掛りをつかむことができた。
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