研究概要 |
1)オワンクラゲの増感生物発光系を形成する緑色蛍光タンパクGFPの蛍光発色団はSer65-Tyr66-Gly67のペプチド結合間で自己触媒的に分子内脱水縮合し、ついで自動酸化して形成されるその基本骨格は4-(4-hydoxyphenylmethylidene)-5-imidazoloneである。この基本骨格を構造基盤とする生体成分バイオイメージング用on/off型新規蛍光センサー開発の出発点として、各種4-(arylmethylidene)-5-imidazolone誘導体を合成し、その蛍光特性を検討した。2-naphthalenecaorboxaldehyde, 6-methoxy-2-naphthalenecarboxaldehyde, 4-(dimethylamino)benzaldehyde, 1-pyrenecarboxaldehydeから出発し、Erlenmeyer azlactone合成法を利用して対応する1,2-dimethyl-4-(2-naphthylmethylidene)-5-imidazolone, 1,2-dimethyl-4-(6-methoxy-2-naphthylmethylidene)-5-imidazolone, 1,2-dimethyl-4-[4-(dimethylamino)phenylmethylidene]-5-imidazolone, 1,2-dimethyl-4-(1-pyrenylmethylidene)-5-imidazoloneを調製した。得られた4-(arylmethylidene)-5-imidazcdone誘導体はいずれもエタノール溶液中では弱い蛍光性を示した。蛍光波長は2-naphthyl体:520nm、6-methoxy-2-naphthyl体:460nm, 4-(dimethylamino)phenyl体:520nm、1-pyrenyl体:503nmであった。一方エタノールガラス(77K)中では溶液状態の2000〜3700倍の強い蛍光性を示す事が確認された。 2)ついで金属キレート能を有する置換基を装着した4-(arylmethylidene)-5-imidazoloneの合成を検討した。その結果キレート能を有する官能基導入の可能な4-[(3-bromophenyl)methylidene]-2-(3-bromophenyl)-5-imidazolone誘導体が調製できた。ベンゼン環へのN官応基の導入の試みとしてmorpholineの導入を検討したところ、目的とするアミノ基の導入されたimidazolne誘導体が得られた。今後、Caイオンに対してキレート能を有する化合物の合成を進めていく。 3)GFP蛍光発色団の蛍光特性に関して、モデル化合物Cを用いて溶媒の粘性と蛍光能の関連について検討した。その結果、モデル化合物C蛍光寿命が溶媒の粘性が大きくなると長くなり、それにつれて蛍光性が強くなる事が判明した。
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