研究概要 |
本研究は平成12年〜13年にかけて、沖縄近海産軟体サンゴからの新規な海産プロスタノイドの発見およびプロスタノイド関連化合物の合成を目的として行われたものである。 沖縄県石垣島近海のサンゴ礁海域で採取した軟体サンゴClavularia viridisのメタノール抽出物を酢酸エチルと水で分配した。酢酸エチル可溶部を各種クロマトグラフィーを用いて分離,精製したところ,22種のハロゲン化プロスタノイドを単離することができた。これらうち、20種が新規化合物であった。これらのハロゲン化プロスタノイドの構造は、各種機器分析(NMR, IR, UN, MS, CD)および化学変換の結果から立体配置も含めて解明した。これらのハロゲン化プロスタノイドの1つは腫瘍細胞に対して増殖抑制活性を示した。 軟体サンゴClavularia viridisからすでに見出されているプロスタノイド関連化合物であるtricycloclavuloneは特異な構造をもつこと、および微量成分であるためその生理活性の検定がなされていないことなどから、その全合成に着手した。[2+2]環化反応および閉環メタセシス反応を機軸とする方法を用いて、tricycloclaculoneの骨格をなす3環性の中間体の合成を達成した。現在、側鎖部分の導入を検討している。
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