研究課題/領域番号 |
12680607
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造生物化学
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
小川 温子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (90143700)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | ビトロネクチン / コラーゲン / 細胞外マトリックス / 組織修復 / 多量体形成 / 超遠心分析 / 糖鎖調節 / 肝線維化 |
研究概要 |
糖鎖による組織修復の制御機構の解明をめざし、細胞外マトリックスにおいて組織溶解と細胞の接着や移動を統合制御する糖タンパク質、ビトロネクチン(VN)の糖鎖変化による活性制御機構に着目した。本研究ではVNの肝再生ならびに肝疾患時の線維化進展における分子変化を詳細に検討し、糖鎖による活性調節メカニズムを研究した。 1.VNの各種エキソグリコシダーゼ処理またはN-グリカナーゼ処理によって、これらのVNはいずれも未処理VNよりも高いコラーゲン結合性を示した。VN分子量は特にシアリダーゼ処理によってより高分子量の多量体を形成し、さらにジスルフィド結合により架橋安定化することが、沈降速度法と沈降平衡法超遠心によって示された。 2.VNとコラーゲンとの相互作用の特性をELISAにより調べたところ、結合性は4℃より37℃で高く、pH4.5を最高にpH4-7で観測された。pH7では結合は主に静電的相互作用によるが、pH4.5ではそれ以外の引力も関る。中性条件下で単量体を保つアルカリ処理コラーゲンと通常の凝集型コラーゲンとの結合性を比較すると、37℃でpH5-7においてコラーゲン凝集による結合増強が観測された。 3.慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌患者と健常者の血漿について、血中VN濃度は肝疾患の進行にともない減少したが、肝硬変患者血漿中では活性化型分子の割合が倍増していることが示された。また肝硬変ではVN糖鎖のシアリル化、フコシル化および分岐度について変化が観察された。 4.ヒトVNcDNAを元に3ケ所のグリコシル化部位を欠く糖鎖欠失変異体をCHO細胞で発現させたところ、特定の糖鎖付加部位がコラーゲン結合性調節に関わることが示唆された。 以上の結果からVNの糖鎖修飾は多量体形成を調節し、かつ安定化することが示され、コラーゲン結合の増強は糖鎖変化によるVNの多量体形成調節を介することが示唆された。
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