研究課題/領域番号 |
12680619
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造生物化学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小島 直也 東海大学, 工学部, 助教授 (30183338)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | Helicobacter pylori / 胃液 / 糖鎖 / 接着 / ルイスb型血液型糖鎖 / スルファチド / 糖脂質 / スフィンゴ糖脂質 / 人工糖脂質 / 人工糖タンパク質 / α-ヒドロキシ脂肪酸 |
研究概要 |
Helicobacter pyloriは胃潰瘍の原因菌と考えられており、胃癌との関連性も指摘されている。多くの研究からH.pyloriのレセプター分子のひとつとして胃粘膜上皮上に発現している糖鎖が有力視されているが、いまだにどのような糖鎖が実際のレセプターとして働いているかは明らかとはなっていない。本研究では、H.pyloriがどのような構造を有する糖鎖がH.pylorのレセプターとして働いているかを明らかにすることを目的とした。平成12年度はH.pyloriのレセプターとして有力視されているスフィンゴ糖脂質に的を絞って研究を行った。特に、糖脂質の糖鎖部分だけをH.pyloriが認識するのか、あるいは糖脂質という分子が必要なのかを明らかにするために、共通の糖鎖部分を有するスフィンゴ糖脂質、人工糖脂質、人工糖タンパク質、人工糖ポリマーを用い、それぞれに対するH.pyloriの接着を比較することで検討した。本研究の結果、H.pyloriは様々なスフィンゴ糖脂質に対して同程度の親和性を示すことが判明した。しかし、スフィンゴ糖脂質と同じ糖鎖部分を有する人工糖タンパク質や人工糖ポリマーあるいは人工糖脂質には全く親和性を示さなかった。さらに糖鎖を持たないスフィンゴミエリンやセラミドにも親和性を示さないことから、H.pyloriは糖鎖とセラミド部分の両方を認識しているが、糖鎖部分の認識特異性は低いことが明らかとなった。平成13年度の研究では、様々な臨床分離株を用いて胃液への接着性を検討すると共に、胃液からのレセプターの単離を試みた。5種類の臨床分離株の接着性を検討したところ、すべての株がヒト胃液に対して強い接着性を示した。この胃液に対する接着は過ヨウ素酸酸化に感受性であるが、シアリダーゼ処理に対しては抵抗性を示した。この結果は、胃液中に含まれるレセプターが糖鎖であるが、シアル酸を含む糖鎖ではないことを示している。さらに、これまで提唱されているスルファチドやルイスb型血液型糖鎖に対しては株ごとに接着性が異なり、これらの糖鎖に対して全く接着性を示さない株が存在した。また、ヒト胃液に対する接着はスルファチドやルイスb型血液型糖鎖では全く阻害されなかった。従って、ヒト胃液中にはH.pyloriの様々な株が共通して認識するような糖鎖が存在すると予想され、またその糖鎖はこれまでに提唱されている糖鎖とは構造的に異なると考えられた。そこで、胃液をグアニジン塩酸中でゲルろ過に供したところ、明瞭に接着性を有する画分が得られた。現在、この胃液中の成分についての糖鎖構造の同定を進めている。
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