配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
研究概要 |
新生仔マウス大脳より単離された新規転写因子zfhXは,発生中の中枢神経系において,そのセンス鎖RNA(mRNA)のみならず,アンチセンス鎖RNAをも発現している。両者の発現パターンから、この遺伝子は神経細胞の分化や移動に関係した機能を持っており,一部の分化初期の細胞中においては,そのアンチセンスRNAを発現させることによりmRNAの発現を積極的に抑制しているという仮説を立てていた。 この遺伝子の機能と発現調節機構について,本基盤研究では以下のことを明らかにした。 1.マウスzfhX遺伝子の構造を明らかにした。mRNAは約9キロ,2561アミノ酸からなるタンパク質をコードしており,ここには18のZnフィンガーフィンガーと3つのホメオドメインを含んでいる。また,ゲノム上では10のエキソンに分かれており,そのアンチセンスRNAは,センスRNAの転写終結位置より下流約6-9kbの所から約30kbにわたって転写されている。 2.ZfhX遺伝子のセンス・アンチセンスの発現パターンをより詳細に解析した。特に,前小脳核群,嗅球の顆粒細胞,小脳の顆粒細胞など,分化初期に特徴的な細胞移動を行う細胞種で,この移動の時期にアンチセンスRNAの発現が顕著である。また,海馬の錐体細胞などにおいては,分化初期に発現していたアンチセンスRNAが減少し,代わってセンスRNAの発現が増加してくることが確かめられた。 3.アンチセンスRNAのプロモーター(または重要な転写調節領域)だと考えられる領域を欠失させたノックアウトマウスを作成した。このホモ変異マウスではアンチセンスRNAの発現がなくなり,代わってセンスRNAの異所的発現が認められた。これにより,アンチセンスRNAの転写によりネガティブにmRNAの発現を制御しているという仮説は,in vivoで,正しいことが証明されたと言える。
|