研究概要 |
変形性膝関節症初期段階の軟骨変性モデルを作成するために,日本白色家兎(体重約3kg)を使用した.変性モデルは,表面擦過モデル,パパイン投与モデル,前十字靭帯(以降,ACL)切離モデルの3種類を作成した.表面擦過モデルでは,関節間に生理食塩液を含んだガーゼを挟み,前後運動させて表面を擦過させた.パパイン投与モデルでは,膝関節腔内に1.6%パパイン溶液0.5mlを中2日の間隔をあけて2回注入した.最終注入日から4日後にウサギを屠殺した後,膝関節を採取した.ACL切離モデルは,ACLの切離手術後9ヶ月間ケージ内で飼育し,屠殺後に関節を採取した.摩擦測定のために,ロボットアームと6軸力覚センサを組み込んだ測定システムを構築した.設定静止荷重時間後,大腿骨を脛骨に対して滑らせた.Z軸方向の摩擦荷重とX軸方向の摩擦抵抗力を測定し,摩擦係数を算出した. 静止荷重0sにおける正常関節群の摩擦係数は0.017±0.003であり,この値は,表面擦過モデル群,パパイン投与モデル群,ACL切離モデルにおいても同様だった.静止荷重300sにおける正常関節群の摩擦係数は0.217±0.194に対し,表面擦過モデル群は0.362±0.038と上昇し,またパパイン投与モデル群は0.479±0.137と有意に上昇した.ACL切離モデルは0.206であった.静止荷重600sにおける正常関節群の摩擦係数は0.344±0.228に対し,表面擦過モデル群は0.499±0.044と上昇し,またパパイン投与モデル群は0.653±0.135と有意に上昇した(P<0.05).ACL切離モデルは0.303であった.静止荷重1800sにおける正常関節群の摩擦係数は0.551±0.102に対し,表面擦過モデル群は0.591±0.028と上昇し,またパパイン投与モデル群は0.620±0.105と上昇した.
|