研究課題/領域番号 |
12710014
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
倫理学
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研究機関 | 九州芸術工科大学 |
研究代表者 |
古賀 徹 九州芸工大, 芸術工学部, 助教授 (30294995)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 現象学 / 社会理論 / 人間科学 / フッサール / 批判理論 / アドルノ / フーコー / アレント |
研究概要 |
フッサールを基軸として、アドルノ、ベンヤミン、ハバーマス、フーコー、デリダといった独仏の現代の思想家たちの思想との媒介を経ることにより、超越論的虚構からなる社会理論の複数的可能性とそれに基づく実践の原理的複数性を認識論的に基礎づけることができた。フッサールの現象学は、その疎外されたありかた(自明性)を生きざるをえない理性が、超越論的反省の反復を通じて、自己の全体性を回復することをめざすものと理解できる。これに対して現代の別の思想的潮流に属するかの思想家たちは、そうした現象学の超越論的反省が、現在の自己を正当化する単数的な超越論的神話を呼び出す危険のうちにあること、また各種の人間科学と結びついて人間の生の可能性を拘束し貧困化するおそれがあることを厳しく批判してきた。現象学の潮流に属すると見られるシュッツやアレントもまた、超越論的還元という思想に内在するこのような危険を自覚し、超越論的反省が複数的でありうる可能性を展望してきた。本研究は、これらの思想的布置を踏まえて、自己の理性の社会的・歴史的生成を超越論的に反省する現象学の理念を継承しつつその単数化の危険を回避する試みとして、複数性の概念に基づくあらたな理論モデルを提示する。本年度は科学研究費・研究成果公開促進費の助成を受け、従前の研究成果を著作(『超越論的虚構-社会理論と現象学』)のかたちでまとめあげ発表した。本研究の骨子は、博士号請求論文として北海道大学にて審査中である。
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