研究課題/領域番号 |
12710037
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 正之 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80280775)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | アイコン / 絵 / チンパンジー / シンボル / 自然物概念 / 類似性 / チンポンジー / 象徴化 |
研究概要 |
平成13年度は、平成12年度におこなったチンパンジー4個体を対象とした「花」「木」「草」の自然物カテゴリーの弁別とカテゴリー化に関する論文をAnimal Cognition誌に公表した。 さらに13年度は、チンパンジー2個体を対象として、12枚提示された写真の中から「花」の写真を選ぶことを訓練し、その般化について調べた。その結果、訓練には使用していない新奇な花であっても、また写真を白黒やぼかし等さまざまに加工して情報量を減らした刺激であっても、期待値よりも有意に高い水準で選択できることがわかった。この研究成果は、現在投稿中である。 また、上記研究と同じ課題を用い、チンパンジー3個体を対照して、刺激として写真の代わりに色付きの「絵」を用いたテストをおこなった。「絵」刺激は、図鑑に用いられている実物を正確に描写したものと、カット集などに用いられている現実には存在しない、部分的に強調された絵を用いた。テストの結果、2個体のチンパンジーの成績は、期待値と差がなかった。被験体はいずれも写真を用いた般化テストでは高い成績を示しており、彼らが「写真」は自然物の表象として知覚しても、「絵」はそのように知覚していないことが示唆された。一方、1個体はいずれのタイプの絵でも写真とほとんど変わりない高い成績を示した。この結果を受けて、さらに白黒の線画を用いたテストと、統制条件として「漢字」を用いたテストをおこなった。被験体はいずれも用いた漢字について何の経験ももっていなかった。線画のテスト結果は、色付きの絵を用いたテストの結果と同様で、2個体はほぼ期待値と変わりない成績であったが、色付きの絵で高い成績を示した個体は、線画でも同様に高い成績を示した。一方、「漢字」を用いたテストの成績は、3個体とも期待値との間に差が見られなかった。 これらの結果から、ヒトが使用している絵画的表象様式(=絵)を、すべてのチンパンジーが訓練なしに認識できるわけではないことがわかった。このことは、ヒトの絵画の認識能力がチンパンジーとの共通祖先との分岐以降に進化したものだということを示唆している。また、1個体のみ絵が認識できた個体は、幼児期より「言語」訓練の経験をもつ個体であり、シンボル使用と絵の認識との間に何らかの関連があることも示唆された。この成果は、日本心理学会(平成13年11月、筑波)と、国際比較認知科学シンポジウム(平成14年2月、犬山)で発表され、現在投稿準備中である。
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