1980年代後半から急速に進展したパーソナリティ研究におけるモデルとして、ビッグファイブ(5因子)モデルがある。これは多数の評定尺度を用い、かつ、それらの尺度の範囲が十分広いならば、5つの頑健な因子によってほぼ完全にパーソナリティを記述することができるというものである。 本研究では、手法や対象者などの制約条件を、これまでの5因子モデルで使用された手法と若干変えて、できるだけ緩めて調査を行った。依拠すべき性格特性語も従来よりも幅広く採集し、5因子モデルのための特性語作成ではなく、より包括的な汎用性格特性語リストの作成を目指した。 また辞書のみならず、自由産出によっても性格形容語を採集し、それを意味論的な分析(自然言語処理ソフトにかけ、形態素に分解)することによって、豊富な性格形容語リストを作成した。 具体的には自由産出での性格特性語リストを作成することを行っている。調査形式として「私(の性格)は」などという文の後に続く性格を記述する語を被験者に20文程度求める。そこで被験者が自分自身で産出しやすい語を拾い集めた。これは一種の文章完成法である。 818人の算出した、15294文に及ぶ性格特性語プールを作成し、その文を自然言語処理解析ソフト『茶筅』にかけて、形態素に分解した。その後、形態素の結合、分離状態を探索的に分析し、その中でも日本語での意味論的に有効なものを抽出し、上位頻出語をリスト化することに成功した。その成果を、群馬大学での紀要にまとめ、日本心理学会、日本教育心理学会等で発表を行った。
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