研究概要 |
平成13年度は,平成12年度に実施した調査や試行によって得られたデータ分析を行った。教師のメンタルヘルスにかかわる要因は、大別して3要因あり、特に、肯定的思考・行動と適切な対処方略という2つの要因は、燃え尽き度と精神健康度の両指標に関わりが大きいことがわかった。これらのことから、適切な対人関係スキルや、物事を肯定的に捉えるスキルを獲得すること、それと同時に周囲の人々から仕事に対する適切なフィードバックと評価を得ることができる環境を整えること、対処方略の選択肢を日ごろから多く提示しておくことや、対処方略を勉強する機会を提供することなどにより肯定的な思考・行動や適切な対処方略を増加させ、教師のメンタルヘルスの向上を図れる可能性が示唆された。教師のメンタルヘルス向上のための効果的な介入として、対人関係や肯定的な考え方のスキルの獲得を目指した取り組みや、問題が発生したときの対処方略の教授、思考を柔軟にするためのカウンセリングなどが有効である可能性が示唆された。 研究結果を、さらに具体的な支援案にしていくために,県内の小・中・高・短大に勤務する教員の有志を組織し,「教師支援を探る」研究会を5回にわたって開催した。これらの討論の中から,教職員集団内の集団作りの重要性,そのための管理職のリーダーシップの取り方が教師の士気を大きく左右すること,実現可能な目標設定とその共有化が必要であることなどが話し合われた。 また、ある中学校において、校長・教頭の協力の中、学校内支援システムを試行した。この支援システムは、生徒を支援するシステムでもあるが、同時に教職員を支援できるように考えられた。対人関係スキルを高めるために集団作りのための構成的グループエンカウンターを実施するという目標設定をし、サポート委員会のメンバーが学級担任を補助した。多くの学級担任がこのシステムを効果的に利用することができた。
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