研究概要 |
(1)幼児の顔の識別に及ぼす髪型と眼鏡の影響 (日本教育心理学会第43回総会(2001)発表論文集p.11) 本研究では,髪型の変化や眼鏡の有無が幼児の顔の識別能力に及ぼす影響について検討するために,幼児と成人を被験者とし,ターゲット刺激と同じ人物の写真を3枚の写真(ターゲットの髪型や眼鏡を変化させた正答刺激1枚と2枚のディストラクタ)から選択させる課題を行った。その結果,成人であればすべての課題において正答率がほぼ100%であったのに対して,幼児は,ターゲットと正答刺激の髪型が異なる課題の正答率が低く,特に,ターゲットと正答刺激の髪型と眼鏡の有無の両方が異なる課題ではほとんど正答できないことなどが明らかになった。 (2)幼児と成人による顔の性別判断に及ぼす髪型と顔つきの影響 (日本心理学会第65回大会(2001)発表論文集p.282) 本研究では,性別判断の正確さに髪型と顔つきがどの程度影響するのかを検討するために,幼児と成人を被験者とし,髪型(髪なし,ショートヘア,ロングヘア)と顔つき(男っぽい男,女っぽい男,男っぽい女,女っぽい女)を組み合わせて作成した顔刺激について性別判断を求めた。その結果は以下の通りである。(1)髪なしとショートヘアの場合:成人は男っぽい女に対して,あとの3つの顔つきより正確な判断ができず,また,その3つの顔つきに対して判断の正確さに差はなかった。しかし幼児は,男よりも女に対してのほうが正確な判断ができず,さらに,男の中では女っぽい男に対して,女の中では男っぽい女に対して,正確な判断ができなかった。(2)ロングヘアの場合:成人は女に対する判断よりも男っぽい男に対する判断が正確になった。しかし,幼児は女よりも男に対する正確な判断ができず,その中でも特に,女っぽい男に対する判断は不正確であった。
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