研究課題/領域番号 |
12710084
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
矢守 克也 奈良大学, 社会学部, 助教授 (80231679)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 社会的記憶 / 風化 / 自然災害 / 防災 / 阪神大震災 / 参与観察 / グループ・ダイナミックス / フィールドワーク / 阪神・淡路大震災 / 記録 |
研究概要 |
研究内容は、大きく2つに大別される。第1は、社会的、もしくは集合的な記憶、および、その伝達・継承に関わる理論的基盤を社会心理学の観点から整備しようとした研究である。すなわち、社会的表象理論、社会構成主義など、社会心理学及びその隣接領域において、現在注目を集めている新しい思潮の導入を図りつつ、体験記憶・伝達のあり方を整理・分類するための独自のフレームワークを提起した。より具体的には、(1)原初の体験が外的に物象化した存在(例えば、廃墟やモニュメントなどのモノ、普遍的な言語メッセージなど)を基調とする「記録」による伝達、(2)原初の体験が内的に物象化した存在(例えば、感情、態度など)を基調とする「記憶」による伝達、(3)原初の体験の現場に、被伝達者の身体状相を遡行させることを企図した「身構え/純粋な風景」による伝達、以上の3つを概念的に区別した。 第2の研究内容は、阪神・淡路大震災(1995年)を事例として、上記の提起を実証的かつ実践的に検討した研究である。具体的には、(1)被災者による直接的コミュニケーションに基づく体験伝達の例として、語り部ボランティア「グループ117」の活動を、(2)フィクションによる体験伝達の試みとして、被災地の劇団「青い森」による震災劇を、(3)博物館等における体験伝達のアプローチの一例として、「北淡町野島断層保存館」を、さらには、(4)被災者と非被災者との交流プログラムによる体験伝達の試みとして、「震災モニュメント交流ウォーク」を、それぞれとりあげた。すべての対象について、綿密なフィールドワークが展開されている。あわせて、震災によって広く人口に膾炙した「活断層」という用語を事例に、専門知識の普及・定着という観点からも、集合的な記憶について検討した。 なお、上記フィールドとの比較対象として、ヒロシマ・ナガサキにおける被爆体験の継承、ハワイにおける真珠湾攻撃の記憶など、戦争の記憶についても資料を収集した。
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