研究課題/領域番号 |
12710088
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | (財)労働科学研究所 |
研究代表者 |
菅沼 崇 財団法人労働科学研究所, 研究部, 研究員 (60311271)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 組織事故 / 組織事故モデル / 組織因子 / リスク / 安全文化 / 情報処理 |
研究概要 |
【目的】近年、経営管理的な問題をはじめとする組織因子によって誘発される産業事故、すなわち"組織事故"に関する研究が活発化している。これは、産業事故の発生原因を技術的な問題や個人の問題に限定することなく、組織全体の問題としてトータルに捉えようとするものであり、産業事故防止に対する新たな視点として注目されている。しかしながら、未だ従来の研究では、組織事故の発生プロセスを特定するには至っていない。そこで本研究では、平成12年度から平成13年度にわたる2ヶ年を通して、組織因子と産業事故発生との関わりを定性的に検討し、組織事故の発生プロセスに関する理論的枠組みを構築することを目的とする。 【実施概要】平成13年度は、平成12年度に構築した仮説的な組織事故モデル(リスク事象に対する6つの処理ステップからなる組織のリスク情報処理モデル)の精緻化を行うことを目的とした。まず第1に、組織因子に関する既存の主要なモデル(11モデル)について概観し、それらの相互比較を通して組織因子の再整理を行った。その結果、モデル内に体系的に含まれるべき組織因子の領域や概念的枠組みなど、組織事故モデルの精緻化に向けての示唆が得られた。第2に、組織事故事象として位置づけられる「JCO事故」を分析対象とし、上記仮説モデルを用いて事例分析を行った。その結果、リスク事象が組織因子としての機能をもつに至る過程の連鎖や各処理ステップに関与する組織因子の種類など、組織事故モデルの精緻化に向けての示唆が得られた。第3に、産業組織を対象としてヒヤリング調査を実施し、実際の組織内のリスク情報処理プロセスの詳細、および各処理ステップに関与する組織要因についての意見聴取を行った。その結果、組織のリスク情報処理プロセスの階層性やそのパターンなど、組織事故モデルの精緻化に向けての示唆が得られた。第4に、以上の一連の調査・分析を通して得られたモデル精繊化に向けての示唆を上記仮説モデルに反映させ、最終的に、「リスク事象の発生プロセス」と「リスク事象の継続プロセス」の2段階プロセスから組織事故の発生を説明する"包括的組織事故モデル"が構築された。
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