本年度は、まず、各自治体・行政機関において父親の家事・育児参加推進のためにどのような施策を行っているかについてヒアリング調査を実施した。その結果、近年、父親の家事・育児参加を推進するために様々な取り組み(セミナーや講習)を行うようになってきていることが分かったが、そうした取り組みがどの程度まで一般市民に浸透しているかは地域によってかなり差があることも明らかとなった。また、父親の家事・育児参加の実態を実証的に把握するために、東京都三鷹市を対象に、0歳から4歳までの子どものいる世帯を母集団として調査票調査(「子育てと福祉に関する三鷹市民意識調査」)を実施した(計画標本数1500世帯、有効回答票724票、回収率48.2%)。そのデータを計量的に分析した結果、父親の家事・育児参加に対しては母親の就労の有無が大きく影響を与えている一方で、それ以外の杜会・経済的諸要因はあまり影響を与えていないこと、世帯の子どもの数に対して父親の家事・育児参加は直接的な影響がほとんどないこと、ただし父親が子育てに関して母親の相談相手になることは母親の子育て不安を和らげること、などが分かった。現在、以上の成果を研究論文としてまとめ、あわせて調査報告書および一般図書として一般に公表する予定である。
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