研究課題/領域番号 |
12710096
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
安本 雅典 信州大, 経済学部, 助教授 (40293526)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 携帯電話端末 / 開発組織 / 製品のまとまり(インテグリティ) / 開発能力 / 製品の定義 / 「開発の切り口」 / ユーザー・カスタマイゼーション / 制度化 |
研究概要 |
本研究では、「携帯電話端末」メーカーへのインタビューを中心に、日米で調査・研究を実施した。調査からは、国内メーカーの「開発組織」は、以下のような条件・要因が作用するなかで、「開発能力」を形作ってきたことが理解された。 90年代以降、日本の携帯電話加入者数は急速に増大してきた。技術進歩や用途開拓が次々と進む中では、どのようなコンセプト・仕様・機能であれば、消費者に認知・受容されるのかは、当初から自明なわけではない。実際、米国と比べ、日本の携帯電話産業では、どのような技術でどのようなニーズを充たすのかという「製品の定義」は、予想を超えて急速に変化してきた。 国内では、強い競争圧力が作用してきたため、開発組織は、競って、新たなコンセプト・仕様・機能の製品を提供しようと試みてきた。さらに、国内では、通信事業者が、国内通信規格の技術の担い手であると同時に、販売者であり通信サービス開発の主体でもあった。このため、各メーカーは自らの「開発の切り口」から新しいコンセプト・仕様・機能の製品を提案しつつ、通信事業者向けに部品や設計をカスタマイズ-「ユーザー・カスタマイゼーション」-した、多様な製品を競って開発することになった。 開発競争のなか、携帯電話端末は、通話機能を果たす携帯端末の域を超えて、小型・軽量性をはじめ、機能やデザインの面で、より「製品のまとまり(インテグリティ)」の高い製品となっていった。実際、米国と比べ、日本では、インテグリティの高い製品が消費者に受容されてきたために、買い替え需要の割合が高い傾向が続いてきている。 以上の点から、国内の社会的・経済的条件のもとで、自動車電話からマルチメディア通信機器へと「製品の定義」が「制度化」されるなかで、よりインテグリティの高い製品を迅速に提供する「開発能力」が、形作られ「制度化」されてきたと考えられる。
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