研究課題/領域番号 |
12710111
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
坂井 妙子 (芝 妙子) 日本女子大学, 人間社会学部, 講師 (90307984)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | イギリス文化史 / 19世紀 / 服装装飾 / 児童文学 / ブルジョワ階級 / イギリス文化 / ベアトリクス・ポター |
研究概要 |
本研究において取り上げたのは、19世紀イギリスにおけるブルジョワ階級にとっての服装装飾の社会的意味である。昨年度に引き続き、児童文学に現れた服飾の意味を探ったが、本年度は服を着た「動物」に焦点を当てた。そもそも毛皮を着ている動物に服を着せることは、装飾行為に他ならない。物語の中に着衣の動物が登場しはじめたのは19世紀だが、これはブルジョワ階級の勃興と期を共にしており、単なる偶然とは思えない。そこで、着衣の動物たちは物語の中でどのように描かれたか、それはブルジョワ階級の服飾観、階級意識、子供観や自然観の変化とどのように関わっているのかを調査した。 ブルジョワ文化が成熟期に向かった19世紀後半には、次の三つの文化現象が見られる。1.科学や技術の発達によって、動物は人間の敵ではなく、より親しみやすい存在に昇格する、人間と動物の相互の歩み寄り。2.都市化と工業化の加速の反動としての田園回帰願望と懐古趣味。3.幼年期特有の文化の発達。これらすべての現象が、児童文学に描かれた動物の服に現れていた。また、当時、ブルジョワ階級が着用したり、憧れた衣服(たとえば、リバティー商会のドレス)にもこれらの現象は現れている。このことは、ブルジョワの価値観、及びその変化が、イラストに描かれた服を着た野うさぎのようなちっぽけなものに至るまで、つまり、文化の隅々にまで浸透していたことを表すと結論付けられるだろう。
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