平成13年度は、得られた調査データの分析と、本研究以外のホームヘルプサービスに関する調査結果や文献のレビューを通して、1)サービス利用者とホームヘルパーのサービス評価における認知のずれが起こりやすい側面、2)ヘルパーがサービス利用者のニーズを正確に認知していてもニーズに合致したサービスを提供できない理由、3)利用者の受けるソーシャルサポート全体の中で、ヘルパーからのサポートはどのような意味を持つのか、について検討した。 その結果、1)身体介護のように標準化が可能な側面より、家庭により好まれるスタイルに違いがある家事援助の技術や、意向を聞くなどの利用者中心の姿勢において、サービス提供者と利用者の評価の不一致が大きく利用者の満足度が低い、2)ヘルパーは、利用者側のサービス内容の理解が十分でないと感じており、業務外の要求をされると感じているヘルパーほど疲労感が高いことがわかった。3)については、ヘルパーからのサポートは、日常生活動作の援助(ADL、IADl両方を含む)、情報的サポート(保健福祉サービスについて相談できる)、情緒的サポート(話をよく聞いてくれる)の順で重要な役割を果たしていた。情報的サポートに関しては、2割弱の人が保健福祉サービスについて知りたいときにホームヘルパーに相談すると回答しており、ヘルパーがサービスの相談窓口としての一定の役割を果たしていることがわかったが、情緒的サポートの提供者としてヘルパーを挙げた人はわずかしかいなかった。世帯構成(「ひとり暮らし」または「夫婦のみ」)との関連では、日常生活動作についてはひとり暮らし高齢者の大部分はヘルパーが第1の援助者であり、夫婦世帯との違いが見られたが、その他のサポートに関しては世帯による明確な違いは見られなかった。
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