研究概要 |
本研究は,学習障害児等への特別な指導が抽出指導を中心とした形で実施されているものの,在籍する通常学級での学習場面においては適切な配慮がなされない場合が少なくないことを問題意識として,通常学級での集団学習場面での指導のための手がかりを得ること目的に取り組んだ。 その結果,以下の知見が得られた。 1.学級によって児童の認知処理特性の分布に大きく違いがあることが示唆された 2.個々の児童の認知処理特性の結果は,学習参加態度に関する担任教師の所感との共通性から,担任教師に授業時の学習班編制などに有効な情報となることが示唆された 3.個々の児童に「自分にあった学習の仕方」をフィードバックすることにより,児童集団の中において,特に学習上のニーズの強い子どもだけが特別な対応をなされるという意識を生じさせずにすむことが示唆された。 4.特に知的発達の遅れのある児童,学習障害が疑われる児童,多動傾向のある児童には,それぞれに認知処理特性が類似した他の児童とのグループ化を行う手がかりが得られた。 研究の進行過程で,当初の協力校の事情により新たな協力校を得るのに時間がかかり,研究が遅れている。研究費補助期間は終了するが,新年度も本研究の仮説検証を継続して行う。
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