研究課題/領域番号 |
12710172
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 宮崎国際大学 |
研究代表者 |
PETER Vail (VAIL Peter) 宮崎国際大学, 比較文化学部, 助教授 (20320450)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | コード・スイッチング(言語の切り替え) / 社会言語学 / 複数言語混在 / 異種言語共存 / タイ語 / 北クメール語 / ラオ語 / クワイ語 / 言語の切り替え / クメール語 / スアイ語 / 社会的アイデンティティ / 異言語共存 |
研究概要 |
タイ国北東部スーリンおよびブリラムで北クメール語、ラオ語、タイ語そしてクワイ語に焦点をあてデータ収集した。他者との日常的接触においては、権力、言語および文化的イデオロギーがあらわれるというのが私の予測であった。本研究における最も重要な発見は、コード・スイッチング(言語の切り替え)の性格とその程度に見られるとともに、それがアイデンティティ・ポリティクス(民族的アイデンティティ操作)への関わり合いにみられた。コード・スイッチングが、会話における共通の特徴であることが判明したとともに、それが社会的アイデンティティの構築と社会的移動性に関連しているということが判明した。またコード・スイッチングが民族的アイデンティティ、性別、社会経済的地位、祉会的移動性そして教育に影響されるということも明らかとなった。 ラオ語の話者は、その言語はタイ語に近いにも関わらず、イデオロギー的には独自性を保持していることがわかった。聞き取り調査と会話の分析から、ラオ語の話者は一般的に明確な民族言語学アイデンティティを固持する「イサン」としての地域杜会的アイデンティティを持っているが故にタイ中央に反感を持っていることを示している。それにも関わらずコード・スイッチングは、ラオ話者間では極めて頻繁に起こることが判明した。ラオ語とタイ語は極めて近い関係にあるがゆえに話者はその結果から生じる有益性を利用し、中央都市的パンコック気風と地方的イサン気風を使い分けていた。 北クメール語の話者もまたタイ語へは規則的に、ラオ語へはある程度言語の切り替えを行っていた。北クメール語の話者の支配的タイのアイデンティティに対する抵抗性は、かなり低いことがわかった。このことは北クメール語がラオのイサンアイデンティティと無縁であること、近隣のクメール国家の成立を失敗と感じていること、アイデンティティの確立における明確なる階層と生産活動の様態が明確であること、そして民族地域的アイデンティティを切り替える必要性をもたらす、なんら有益な社会文化的資源の欠如等によるものであると考えられた。 クワイ・アジアン族、象を育てるクワイ族は、タイあるいはイサンではない別のはっきりとしたアイデンティティがあると主張する。それは、象の象徴的力に強く根ざしているものである。しかしそのクワイ・アジアン族も、彼等の権力を剥奪された杜会的地位に因ることもあり、一般的にはタイ語の言語的ヘゲモニーには抵抗し続けていたものの、クワイ語とタイ語の間を(クメール語とラオ語間に加え)しばしばコード・スイッチングしなければならなかった。
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