1.史料調査 (1)国内:東京女子大学、大阪市立大学文学部、名古屋大学文学部、広島大学平和科学研究センター、同文学部、別府大学文学部で史料等を調査した。 (2)インドネシア:国立図書館、国立公文書館およびインドネシア大学で資料調査を実施した。 2.研究発表 3月2日、SEAF研究会(東南アジア史学会中国四国地区例会)において「20世紀蘭領東インドプロテスタント教会改革とアンボン」と題して中間報告を行った。 3.研究成果 1910年代末以降のナショナリズム政党のアンボン地域へのアプローチに対し、地域社会は地域エリートを中心にこれを利用し、かつ植民地当局の行政近代化政策にも乗じて、地域の「近代化」と「自治拡大」を目指す改良主義的政治社会運動は展開した。30年代には、アンボン自治プロテスタント教会設立運動が見られた。そこでは地域の枠を越えバタビアのエリートを中心に、アンボン人キリスト教徒が自治教会設立を実現しようとした。これは20年代の運動の発展したものである。中核となった人々は、20年代と同様牧師、教師、村落首長、官僚といったエリートであり、実際の人脈としても連続しており、活動内容も協同組合運動や学校教育の拡充など共通している。なにより、少数の急進的ナショナリズム勢力の組織とこれと連携し並行して運動する多数派の穏健組織からなり、後者が前者を利用しつつも、当局に対する協調姿勢を優先して、当局の近代化政策を利用して、オランダ支配の枠内での「近代化」と「自治」という目的の達成を図る点で、両者は全く同質である。
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