研究概要 |
本研究の目的は,地域社会の方言変容と,その地域の人々の方言・地域に対する意識との間に見られる関連性を解明することにある。この問題を考察するために,次の2地点で多人数調査を行い,相互の結果を全国レベルで比較する。 (1)言語的には関西方言圏でありながら,文化・経済の面では名古屋を中心とした東海地方との繋がりの強い三重県北勢地方。 (2)関西とは対照的に威信が低い「弱い方言」である東北方言圏のうち,特に関東方言の影響を地続きに受けていると考えられる福島県。 2001年度は昨年度の調査を継続し,上記の地域(三重県津市内および福島県福島市内)において高・中・若年層インフォーマントを対象とした面接方言調査,アンケートによる意識調査を行った。面接調査の結果から,両地域の方言変容・衰退の度合いを把握し,アンケート調査によって人々の「方言意識」「地域帰属意識」を同時に測定した。 昨年度の調査結果による予備的な分析で見られた「方言使用への抵抗感」「地域帰属意識」などの変数と「方言変容(個人ごとの方言使用度)」との間の関連性は,今年度分を加えたより多数のデータによっても同様に確認できた。 現在,この関連性を生み出す因果メカニズムについて多変量解析の技法を用いた分析を行っている。
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