研究課題/領域番号 |
12710228
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国語学
|
研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
青木 博史 京都府立大学, 文学部, 講師 (90315929)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | コト(事) / 非対格性(能格性) / 名詞句 / 状態性 / 四段活用 / 下二段活用 / 有標 / ヴォイス / 派生 / 複合動詞 / 二次述部 / 変化 / 意図性 / 抄物資料 / 漢字字体 |
研究概要 |
本年度における研究の業績は以下のとおりである。 (1)論文「コトの機能」『筑紫語学論叢』(風間書房、2001年4月) (2)論文「四段対下二段の対応関係について」 『京都府立大学学術報告(人文・社会)』53号(2001年12月) (1)では、「コト(事)」という名詞に注目、「能格性」という観点から考察を行った。「コト」は典型的な出来事名詞であるから、「動作主」にはなり得ない。これは「事欠く」のような語のレベルだけでなく、「人の目にとまる事」のような、「コト」で承けた名詞句が、文レベルで機能する場合も同様である。すなわち、「コト名詞句」は、文中で常に「対象」としてはたらいていると考えられる。一方で、裸の用言連体形で構成される、いわゆる「準体句」についても、これとよく似た振る舞いが観察される。しかしながら、準体句が主語の場合、その述語は状態性を有する語に限られるのに対し、「コト名詞句」の場合は、動作性を有する動詞を述語にとることができる。このような、古典語の名詞句間における、極めて重要な相違について指摘した。 (2)では、四段活用と下二段活用の関係について、(a)自他対応(b)助動詞「る」「す」(c)使役性他動詞/可能動詞、の3つの場合を取り上げ、下二段活用の有標性を説いた。これまで、「切る-切れる」「立つ-立てる」のような自他対応関係については、古代語では形態上の有標性が見られないことから、「派生」関係としては捉えにくい面があった。しかし、意味論的なアプローチを用いることにより、下二段形の有標性が証明された。このように、四段の有標形として存在した下二段の形式が、助動詞「る」「す」や、可能動詞を成立させる場合にも有効にはたらいたであろうことを述べた。
|