Stanley Nyamfukudzaの作品に関しては、以前本人に行なったインタビューと一緒に研究報告をUniversity of North Carolina発行の学術雑誌Journal of African Travel Writingに投稿し、受理され、2001年の10月に発表される予定であったが、雑誌の発行が遅れ、2002年の春にずれ込んできている。Nyamfukudzaに関する研究は一区切りがついたので、2001年の夏頃からDambudzo Marecheraの作品の研究に着手し、その作品を貫く極度の疎外感、絶望感、そして、植民地主義と民族主義双方の正当性を覆そうとする姿勢について、作者が経験した暴力的なまでに過激なスラム生活、すなわちアパルトヘイト型都市における生活との関連で研究を行ってきた。そこで明らかになったことは、Marecheraのアフリカ人同胞に対する深い絶望感はNyamfukudzaのように独立を果たしたほかのアフリカ諸国の政権の腐敗や民族間紛争への絶望からきたものではなく、都市生活で貧困に苦しみ、お互いに裏切り合う人々への絶望感からもたらされており、アパルトヘイト型都市特有の人々の精神状態が独立後のアフリカ人国家ジンバブエの精神的な基盤であるという彼独自の悲観的な見解にたどり着くということである。実像を把握するまず、第一作目の作品で植民地時代のジンバブエの都市を舞台にしたThe House of Hungerについて、そのポストコロニアル的な神経症的状況を表現することにおいて、中国小説「西遊記」が与えた影響と、都市表彰を絡めて論じた論文を執筆した。論文は2002年の4月にボストン大学での学会で発表することが決まっている。
|