研究課題/領域番号 |
12710269
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
明星 聖子 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (90312909)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 編集 / 文献学 / テクスト / コンピュータ / 文学 |
研究概要 |
欧米各地の最先端の編集・出版の現状を把握するという当初の目的については、今回の研究で、ほぼ満足な成果が得られたと思う。特に、平成12年度に2回、13年度に1回の計3回の海外主張において、各地の研究者と直接議論を交わし、重要な意見交換をおこなえたことは非常に有意義であった。こうした、情報収集によって明らかになったことは、簡単にいえば次のようなものである。すなわち、学術的テクスト編集におけるコンピュータの活用は、世界的にもまだ端緒についたばかりで、欧米の研究者たちも暗中模索状態であり、しかもその模索が大勢においては、私の期待していたのとは違う方向に向かっているということである。私が期待していたのは、ここ数十年急速に発展してきた編集文献学の成果が、コンピュータというメディアでどう応用されていくのか、であったが、しかし、想像していた以上に、現実に文学テクストの電子化を進めている研究者たちは、従来の文献学についてごく偏った理解しかおこなっていないようであった。具体的な説明は省くが、結局私はこうした状況から、次のような結論を出さざるをなかった。つまり、これから先の私の研究は、欧米の現状に学ぶという受身のものからさらに進み、いわば一種の先駆者の立場に立つことを目指して、コンピュータを活用した文献学的実践についての問題を、もっと主体的に探っていくものにしなければならないというということである。 なお、こうした情報収集をおこなうかたわら、それらの情報のこれからの分析・活用の土台となるべき理論的な思考はたえず続けており、平成13年度はそれを2本の論文にまとめることができた。特に後半に執筆したものは、今後のテクスト編集のあるべき方向性を明確に示す意義あるものであったと自負している。さらに平成14年度には、ここ数年来の研究の成果にそれらの新しい成果を織り込んだ著書を一冊出版することもできた。
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