研究課題/領域番号 |
12710276
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
西山 國雄 茨城大学, 人文学部, 助教授 (70302320)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 能格性 / 他動性 / 形態論 / 統語論 / オーストロネシア諸語 / インドネシア語 / 受け身 / 接辞 / エスキモー諸語 / ブギ語 / アマゾン諸語 |
研究概要 |
本研究では能格言語の格のシステムについて、他動性の形態素が能格言語の格システムの中でどの様な役割を果たすかということに注目し、他動性形態素が、格を直接ライセンスする、という仮説から出発した。当初念頭に置いていた言語の中で、最も成果の上がるものとして、本年度はオーストロネシア諸語、特にインドネシア語の受け身の研究を行っている。同語の受け身を形態論の立場から分析し、受け身は統語部門の後で起こると主張する。インドネシア語の受け身は命令形の時にも用いられ、外項の抑圧はない。また、目的語からの関係節抜き出しの際には受け身は義務的であり、格の要請による移動があるとも考えられない。こうした事実から、本研究では、インドネシア語の受け身は、統語部門で出来た目的語の痕跡により引き起こされると分析する。具体的には目的語の移動によりできた痕跡が、動詞にある抽象的な接辞位置を活性化すると考え、このライセンスに他動性形態素の1つである受け身形態素が係わるとする。また能格性の観点からは、同語の受け身では動作主は目的語の位置にあり、これはいわゆる深いレベルの能格性の一種であると主張する。この成果の発表のため、筆者は平成14年度国際研究集会派遣研究員(第I期)として平成14年4月26日から28日までアメリカ合衆国ニューヨーク州にて開催されるオーストロネシア形式言語学会に派遣されることになっている。同会議はオーストロネシア諸語の研究者の中で、特に形式言語学の手法をとる者が結成したもので、主にアメリカ合衆国やカナダで開催されてきた。過去の参加者は北米を始め、フィリピン、オーストラリア、インドネシア、日本、台湾などの環太平洋の国々から来ていて、インドネシア語をはじめその周辺語の専門家が多数出席する。そしてこの論文はこの会議の論文集として出版される予定である。
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