研究課題/領域番号 |
12710282
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
加藤 重広 富山大学, 人文学部, 助教授 (40283048)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 数量詞 / 遊離 / 連体 / 離散的認知 / 集合的認知 / 語用論 / 遊離数量詞構文 / 連体数量詞構文 / 未定的単位 / 既定的単位 / 語用論的な「数」 |
研究概要 |
本研究では、従来統語論的な機能だけが注目され、意味差を検討される機会の少なかった連体数量詞構文と遊離数量詞構文の意味的な違いが何か、また、それは何に起因するものか、などについてさまざまなデータを集めることにより、分析を行うものである。平成12年度から13年度にわたる研究の結果、以下に述べるようなことが明らかになった。 (1)統語論的な機能差は、日本語の修飾構造の基本的特質を反映し、その一部を増幅する形で説明することが可能なこと。日本語の統語構造において、連体修飾要素を副詞的な連用修飾要素に転換することが容易で両者の対応関係については、すでにいくぶんかの研究があるが、名詞を限定する成分である連体修飾要素が用いられた場合は、すでに確立された概念の存在を前提にしているのが普通であり、これは以下の既定的単位と大きく重なるものである。 (2)連体数量詞構文は、それが既定的な単位と認知されていることを反映していること。既定的単位とは、ある個別物の集合体(1以上の集合的存在)について、それが離散的に存在しているのではなく、ある種のまとまりを持って存在していると認知されている。このことは、談話においては語用論的な条件となりうる。 (3)遊離数量詞は既定的な単位とは認定されていないことを反映していること。遊離数量詞構文では、集合的な単位という認識はないが、これはただちに離散的な単位と認識していることを意味しない。集合的な単位という認識は、それが義務的に生じる場合、義務的な要請の結果として生じたのではないが結果的に生じている場合、生じないことが義務的に求められる場合が想定されることなどが分かった。 (4)理論的に有標なのは連体数量詞構文であり、遊離数量詞構文のほうが無標であるが、これは、データによっても裏付けられる。文法や論理的関係からは、連体数量詞構文が無標であり、遊離数量詞構文が派生形態のように思われるが、実態は逆であり、収集したデータからもそのことを支持する結果が出た。
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