研究課題/領域番号 |
12720002
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 美由紀 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 講師 (00313049)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ブラジル / 上訴制度 / イベロアメリカ / ラテンアメリカ / 民事訴訟法 / 訴訟法 / 違憲審査制 |
研究概要 |
私の研究主題は合議判決が全員一致でない揚合に異議申立ができるブラジルの制度であり、その伝統は中世ポルトガルに遡る。日本での研究ではこの制度に関し断片的知識しか得られず、また資料の重要性の度合を確認することもできずにいたが、10ヶ月間の現地研究を経て、民事訴訟法をはじめとする現地の諸法分野の法律家の協力もあり、多面的にこの制度を理解することができた。まず、歴史的な原型を求め、その現在にまで至る道筋を明確にした後、制度の機能とそれを存立せしめる環境を検討してみた。それに平行して、その実際の運用を知り、法律家のこの制度に対する考え方を観察することを行った。 現地の法律家の中には現行民事訴訟法典にこの制度が残存したこと自体を厳しく問題視する者もあり、現在、非全員一致判決異議申立制度についてはかなり大きな批判がある。法制史的にみると、20世紀に入ってからは、一部に時代錯誤との批判を蒙りつつも、その範囲に伸縮を繰り返し、周辺的制度を取り込んだり廃止したり、また復活させたりしながら、今日にまで姿を残しているというところである。 しかし、そうであっても、実際にこの制度は依然として運用されており、弁護士にとってはそれだけ駆け引きの機会を付与する便利な武器として重要な意味を持ちつづけ、裁判官にとっては、判決の完全性への希求には叶うが、負担過剰の一つの原因であり、訴訟遅滞の原因である。 非常にブラジル的な発想法を示すこの制度は、同国の訴訟法において追求される裁判における完全性、あるいは判決の正しさとは何か、を照らし出すものであり、訴訟経済との均衡を考慮してその許容度を見るとき、同国法律家の正義観や司法観をも反映し、プラジル法文化論、さらにブラジル社会論への展開を可能とする。
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