研究課題/領域番号 |
12720011
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
豊島 明子 (水野 明子) 三重大学, 人文学部, 助教授 (10293680)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 社会保障法 / 行政法 / 介護保険法 / ドイツ法 / 社会保障 |
研究概要 |
ドイツでは、介護保険法が施行された後、5年余りの間に、介護サービス供給に従事する民間事業者の参入が一定程度進んだ(一例を挙げると、ホームヘルプ事業者数は約3倍に伸びている。)。こうした民間事業者の参入促進は、わが国の介護保険法施行後の動きとほぼ同様である。しかし、ドイツにおける供給主体の多様化は、日本と比べて、福祉市場における営利事業者の優位性の点で異なっている。それは、ドイツでは日本とは異なり、元来、民間非営利事業者(「自由な福祉団体(Verbaende der freien Wohlfahrtspflege)」と呼ばれる福祉団体)の存在が強固であったために、営利事業者の参入が日本ほど急激には進展しなかったと見られるからである。このように供給主体の多様化に関する違いを有しているとはいえ、ドイツでは、多様化がもたらしたとされる弊害として、「介護スキャンダル」と呼ばれる問題が社会問題化し、介護に関する質の確保が緊急の課題となっていった。この結果、2002年1月より、「介護の質を保障する法律」がドイツでは実施される運びとなっている。この法制化によりドイツは、従来、施設に関する質の保障法としての「ホーム法」のみの体制から、在宅介護中心の現在に適した介護サービス自体の質を維持するための制度をも完備するという新たな段階に至ったのである。このように、ドイツでは介護保険法施行後、いかにしてより良い介護保障システムを作り上げるかを試行錯誤している段階にあり、介護保険法に基づくドイツの公的介護保障システムについて確定的な評価を述べうる時期には未だ至っていない。したがって、日本でも、ドイツと同様、介護保険法の問題点を冷静に見極め、改善のための努力を続けていかなければならない。このことは、ドイツと比較して営利事業者の拡大傾向がより強い日本においては、より一層切実な課題であると言えよう。
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