研究課題/領域番号 |
12720014
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
前田 雅子 大阪府立大学, 社会福祉学部, 助教授 (90248196)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 社会福祉 / 社会福祉行政 / 福祉サービス / 指定 / 苦情解決 / 成年後見 / 職権措置 / 社会福祉基礎構造改革 / 措置制度 / 福祉サービスを受ける権利 / 社会福祉の公的責任 |
研究概要 |
今年度は、社会福祉法、身体障害者福祉法その他の改正によって、福祉サービスの利用に関する権利義務関係の変容を前提に、社会福祉行政の法理を再構築するための検討作業を行った。ここでは、法改正により導入された「指定」というサービス事業者に対する新たな規制のしくみを対象に、利用者のサービスを受ける権利の実現、および福祉サービスの水準の維持・向上という視角から、その有効性と限界について考察した。 その結果、明らかとなったことは、まず、「指定」制度には、苦情解決や質の評価の導入など、規制にとどまらない誘導的・助成的な手法が結びついており、その成否はこれらの手法の実効性の確保に左右される。もっとも、これらの「法化」が進められないため、結局は「市場」の評価に多くが委ねられてしまうことになる。そのため、これら誘導的・助成的手法を、地方自治体の福祉条例といった憲章的な規範にせよ、事業者と利用者の契約内容の解釈に資するためにも、規範化を行うことが要請される。次に、情報・取引格差のある高齢者・障害者等が当事者として自己に最善の意思決定を行うためには、サービス利用援助事業や成年後見制度の活用が不可欠であるが、現状ではその利用が進まず、依然、この観点からの積極的な事業規制を行うことが必要である。第三に、「市場」でのサービス利用から事実上排除されている要援護者に対し、福祉サービスを実施することは、憲法25条の規範的効力の射程内にあると解される。その受け皿として社会福祉の各法で例外措置として規定されている地方自治体による「職権措置」は、これを実施すべきケースが相当数存在するにもかかわらず、措置件数は極めて少ない。その原因の一つとして、職権措置にかかる地方自治体の広範な裁量が認められる。新規の職権措置について訴えの利益を否定する裁判例への批判を含め、当該裁量の法的統制のあり方について考察した。
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