研究概要 |
1.耐久消費財産業における供給形態とR&D投資の関係の分析 耐久消費財の生産企業が消費者に財を供給するときの契約形態が、企業のR&Dのインセンティブにどのように影響するかを分析した。販売契約による供給を行う企業の方が賃貸契約による供給を行う企業よりも高い品質の製品を供給することが明らかとなった。財の耐久性が高いほどこのような傾向にあり,中古市場の規模の拡大が販売企業のR&Dインセンティブを高めるという結論が得られる。米国反トラスト法では、幾つかの耐久財産業において賃貸契約による財の供給を禁じているが、このような規定は企業のR&D活動を抑制させる可能性がある。 2.耐久消費財の経済的陳腐化のメカニズムの分析 技術進歩が著しい耐久消費財産業においては,生産企業が供給する財の経済的耐久性は、技術進歩率と物理的耐久性に依存することを示した。物理的耐久性が高いほど,その財の経済的耐久性も高くなる。しかしながら,消費者余剰も考慮した社会的望まレさの観点からは,均衡における経済的耐久性の程度は過大になる傾向があることが示される。 3.中古市場における情報の非対称性と経済的陳腐化の関係の分析 中古市場で取引される製品の耐久性に関して売り手と買い手の間に情報の非対称性が存在する場合、耐久消費財の生産企業は新製品の導入を抑制するインセンティブを持つことを明らかにした。従って,情報の非対称性が大きいほど,財の経済的耐久性が拡大する。
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