研究概要 |
本年度も引き続き,線形から非線形へ,また,正規性から非正規性ヘフィルタリング理論の拡張を行った。すなわち,非正規分布を正規分布で近似するのではなく,また非線形関数を線形関数で近似するのではなく,より一般的により正確に偏りのない推定値を求める方法を考えた。 過去の研究による数値積分フィルタやモンテ・カルロ積分による分布関数を近似する方法では,近似の方法に研究者の恣意性が含まれる。この数値積分フィルタ(numerical integration filter)では,数値積分を行う場合,ノードの取り方が分析者によって異なるという欠点をこの数値積分フィルタは持つ。さらに,数値積分の際にトランケーション誤差(truncation error)も含まれるという計算上の欠点もある。また,モンテ・カルロ積分によって各々の積分を評価するというモンテ・カルロ積分フィルタ(Monte-Carlo integration filter)は,乱数生成のために用いられる分布関数が分析者によって自由に選ばれるという点で,かなり恣意的な推定方法であるといえる。よって,この2つの非線形・非正規性フィルタの恣意的な点を改善するための新たな推定方法を考える。具体的には,このような恣意性を取り除くために,分布関数を近似するのではなく,分布関数から直接乱数を生成しようという方法を考えている。 乱数生成の方法としては,1990年代に入って,ベイズ統計学の分野で盛んに用いられているギブズ・サンプラー(Gibbs Sampler)やメトロポリス・ハスティングズ・アルゴリズム(Metropolis-Hastings Algorithm)等のマルコフ連鎖モンテ・カルロ(Markov Chain Monte Carlo)という手法,棄却法(rejection sampling),重点的リサンプリング法(importance resampling)を用いた。
|