研究課題/領域番号 |
12730068
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
商学
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研究機関 | 専修大学 (2001) 横浜市立大学 (2000) |
研究代表者 |
川野 訓志 専修大学, 商学部, 助教授 (20244460)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 小売構造 / 過小過多 / 開業 / 菓子 / 女性労働 / 小売商 / 昭和初期 |
研究概要 |
我が国小売構造を特徴づける過小過多構造がいかにして成立してきたのかを明らかにすることが本研究のテーマである。以前からの研究では開業に必要な資金と事業に必要な技能・熟練が、特定業種に開業が集中する結果をもたらしていることを示してきた。資金と技術という2資源に着目し、特定業種が選択される理由を検討してきたのである。この手法とは別に、過小過多構造を示す典型業種を選び出し、その業種での資源調達を検討する方法もある。 1930年代、全国各地の商業調査類を調べていくと、小売店の過小過多は特定業種によってかなりの部分が発生していることが分かる。本研究では菓子販売業に焦点を当て、その資源調達方法に検討を加えた。菓子販売業は、各商業調査で10-15%を占める業種であり、全業種の中で最も店舗数が多い。身近な食料品という商品特性とともに、開業・経営上の問題も大きい。中でも、小売専業が大半を占めており、菓子小売業の多さが目を引く。 小売店開業を考える場合、資金、技術が重要であるが、菓子小売業ではその前提としての人的資源が問題となる。当時の菓子小売店は1-2人規模で行われており、家族労働力、特に女性労働力によって担われていた。菓子小売店は、従業者を雇わず、女性が経営していたのである。 資金調達は、零細規模であるため必要な資金額が限られており、仕入と販売との時間差による回転差資金を利用でき、住宅を店舗とすることで不動産関連投資を節約することができた。 戦間期の小売商問題は、特定業種での店舗乱立によるところが少なくなかった。その典型例である菓子小売業では、少額資金、未熟練でも開業・経営できる仕組みをもっていた。それは女性労働力の利用であった。資金、技術に加えて、「人(の属性)」という資源要因が菓子小売業を考える場合には重要な役割を果たしていることが本研究を通じて明らかにされた。
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