「自律分散的SCM(Supply Chain Management)システムの可能性」というタイトルで口頭(2000年12月)と文書(2001年1月)によって、本研究の一部を発表した。その中で、自律分散的SCMシステムの必要性を説き、そしてその基本構造とそれを実現するために有望な技術として、メッセージにXML(extensible Markup Language)、通信プロトコルにWebでおなじみのHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を使用しネットワーク上に分散するオブジェクトを操作できるSOAP(simple Object Access Protocol)を紹介した。 日本商業学会第51回全国大会(2001年5月)にて「情報流中心の流通観:補助線としての情報の定義」において、自律分散的SCMシステムの考え方の基礎となる情報流中心の流通観を提示した。 菅原正博、吉田裕之、弘津真澄編著『次世代流通サプライチェーン』中央経済社(2001年11月)の中の「次世代SCMにおける情報活用戦略(第15章)」では、生活者あるいは流通企業を起点とするSCMシステムを次世代、自律分散的SCMシステムを次々世代と位置付け、それぞれ萌芽的な動きが既にあることを紹介した。 「自律分散型SCMの基盤の研究--SOAPの役割と可能性--」(2002年3月)では、2000年12月の段階では最も有力ではあるが確実とはいえなかったSOAPという技術が、ほぼ確実となったこと、その確実さの度合、そしてSOAPという技術の位置付けを過去の技術の発展プロセスから明らかにした。また、中小企業を含めたSCMへの動き、重要な技術を持っている中小企業に対する利益配分の適正化など、本研究課題が目的としていた中小企業に対する萌芽的な動きが始まってきたも紹介した。
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