研究概要 |
当初の研究計画ではトロイダル代数の対称性をもつ広田型双線形微分方程式の研究を行う予定であったが、昨年度の研究の結果トロイダル代数の表現とモヂュラー群の間に関係があることが分かったので、今年度も昨年度に引続きモヂュラー群との関係をより詳細に調べることにした。 まず符号が(n, 2)となる偶格子から出発し、対応する頂点作用素代数を考える。この頂点作用素代数を使ってトロイダル代数の表現を一般の整数レベルで構成した。また符号が(n, 2)となる偶格子がモヂュラー群の作用を持つことから、その作用を上で構成したトロイダル代数の表現の上にリフト出来ることを示した。さらに特別なレベルの場合に構成した表現の指標を計算し、アフィン・リー代数の指標とデルタ関数の積で書けることを示した。 本年度の研究は当初の研究計画とは異なっているが、申請時に述べた筆者の長期的な研究目標である「トロイダル代数およびその表現の構造解析」という観点から外れるものではない。この点から見れば、本年度の研究は理解のための重要な一歩であると考えている。 本年度の研究成果に関して以下の研究集会で口頭発表を行った。 (1)Elliptic Lie algebraについて 研究集会「有理楕円曲面に付随する周期と楕円型リー環」 国際基督教大学2001年6月 (2)On Elliptic Lie algebras. Workshop「Integrable models, Combinatrics and Representation theory」 関西セミナーハウス2001年8月
|