研究概要 |
本研究は,以下の二つの対象を位相的方法によって扱うものである.一つは,ベクトル場のホモクリニック/ヘテロクリニック分岐であり,もう一つは,この問題と密接に関係する一次元の放物型方程式の進行波解の分岐と安定性である.特に,ホモクリニック/ヘテロクリニック軌道の分岐の位相的構造と,対応する進行波に対する線型化固有値問題の位相的構造の関係を明らかにすることを目標としている. 先ずベクトル場のホモクリニック/ヘテロクリニック分岐については,Conley Indexの理論においてホモクリニック/ヘテロクリニック軌道の存在を判定する重要な手段であるConnection Matrixの理論において,その存在証明の中で力学系的な情報がどのようにHomology Indexの代数構造に繁栄されているかを検討した.次の段階として,Index filtrationを経由せずに直接Connection Matiixを構成するが望まれている. 次に一次元の放物型方程式の進行波解の分岐と安定性については,Inclination-flipホモクリニック軌道からの多重パルスの分岐,不安定な進行波からのそれを繋いだ形のパルスの分岐及び,front波とback波の共存する余次元3の特異点からのpitchfork分岐とHopf分岐のについて,その分岐の位相的構造と対応する進行波における線型化固有値問題問題の位相的構造の関連を明らかした. 具体的には,Inclination-flipホモクリニック軌道からの分岐については各パルスに対応する位相的不変量である記号列と,パルスに沿った線型化作用素の固有値の分布についての関係を明らかにした.また不安定進行波を繋いだ形のパルスについて,固有値の集積という新しい現象の存在を示しその位相的構造を明らかにした.また余次元3の特異点からの分岐については,相空間内に当該の特異点から伸びるpitchfork分岐とHopf分岐の枝が存在し,その特異点が周辺の分岐構造のオーガナイジング・センターになっていることを示した.
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