研究課題/領域番号 |
12740128
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
和田 桂一 国立天文台, 理論天文学研究系, 助手 (30261358)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 数値シミュレーション / 銀河 / 星形成 / 超新星 / 銀河中心 / 流体力学 / 星間ガス |
研究概要 |
活動的銀河中心核(AGN)や銀河中心領域の爆発的星生成は、銀河形成や銀河の進化にとって、非常に重要なプロセスであるが、その発生の原因、進化過程については観測的にも、理論的にも多くの未解決の問題があった。本研究では、銀河中心領域での星形成とガスダイナミクスと、AGNとの関連について注目した。これまで、AGNのモデルとして「ダストトーラスモデル」が広く受け入れていたが、このトーラスの正体、すわわちその構造、サイズ、成因と構造の維持メカニズムは全く分かっていなかった。われわれは、高精度の3次元流体シミュレーションにより、銀河中心近傍の巨大ブラックホール(太陽質量の100万〜1億倍)近傍100パーセク以内の星間ガス構造の大局的シミュレーションを行った。超新星爆発からのエネルギーフィードバックを考慮し、基礎方程式(質量、運動量、エネルギー保存式、ポアソン方程式)を、256×256×128格子点を用いて解いた。エネルギー保存式では、星間ガスの現実的な冷却関数を用いて、低温ガスから高温ガスまで正しく扱った。その結果、銀河中心の巨大ブラックホールのまわりに両面がくぼんだ凹レンズ状のガス構造が準定常的に形成されること、その非一様な複雑な内部構造(高密度のガス塊やフィラメント、低密度のホールから成る)、そして爆発的星形成からのエネルギーフィードバックにより、銀河中心ブラックホールへの質量降着率が数倍大きくなることを明らかにした。また、このようなガス構造が形成されるため、ブラックホールとそのごく近傍の熱い降着円盤からなる、AGN本体に対する遮蔽効果は、視線方向と円盤との角度によることを定量的に明らかにした。この結果から、爆発的星形成を伴った、2型Seyfertの観測で示唆されるの水素原子の柱密度を再現するためには、視線方向が、円盤の極方向から60±10度以上であればいいこと、ただし、視線方向に対して柱密度に2桁にもなる大きな分散がある、ということを始めて明らかにした。
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