研究課題/領域番号 |
12740176
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤 貴夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20313207)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 非平行光パラメトリック増幅器 / 有機色素分子 / サブ5フェムト秒パルス / 分子振動 / ring-breathing mode / フェムト秒実時間分光 / ラマン散乱 / 周波数変調 |
研究概要 |
原子や分子の超高速ダイナミックスの研究には、フェムト秒の時間分解能が必要である。特に、周期数十fsで振動する分子振動の振幅や位相の変化を実時間的にとらえるためには、10fs程度の分解能が必要である。当研究室において開発された世界最短のサブ5fsパルスを発生する非平行光パラメトリック増幅器を用いることによって、5fsの時間分解能をもった分光を行うことができる。本研究においては、単純な系である有機色素分子/高分子の系について、非線形超高速分光を行った。具体的には、クレジルバイオレット分子(以下CV分子)をポリビニルアルコールにドープしたフィルムである。その結果、590cm^<-1>の色素分子の振動が観測された。この振動は、CV分子のring-breathing modeによるものである。この振動の時間変化を解析した結果、91cm^<-1>で振幅、周波数が変調を受けていることがわかった。振幅、周波数変調の位相はお互いにほぼ逆位相である。このような変調は、ポテンシャル曲線が変調を受けることによって説明できる。この変調の原因としては、CV分子のring-breathing mode以外の振動モードとのカップリングによるものであると考えられる。このring-breathing mode以外のモードの核座標とring-breathing modeの核座標を考えて、2次元のポテンシャルを設定した場合、励起状態のポテンシャルが基底状態のポテンシャルに対して回転しているとすると、今の現象がうまく説明できることがわかった。これはダシンスキー回転とよばれる現象であり、実時間分光によって、それを観測したのははじめての例である。
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