Al_<75>Ni_<15>Ru_<10>組成周辺の合金において、3種類の正10角形準結晶と近似結晶の存在を見いだし、high-angle annular detector dark-field scannning transmission electron microscopy(HAADF-STEM)および高分解能電子顕微鏡(HREM)観察から、それら正10角形準結晶のカラム状原子クラスターの原子配列を決定した。種々の熱処理した合金の研究から、次の結果が得られた。 1)基本の回折パターンをとる0.4nm周期の正10角形準結晶(Basic-structureと呼ぶ)は液体急冷した合金に存在し、高い規則性の準結晶である。 2)規則格子反射をとる0.4nm周期の正10角形準結晶(CsCl-type structureと呼ぶ)は、Al_<70>Ni_<20>Ru_<10>合金のアーク溶解試料で見いだされた。高い規則性をとり、5回対称の2nm直径原子クラスターの規則配列として特徴づけられる。2方向の5回対称クラスターが菱形準周期格子中を規則的に配列し、CsCl-型超立方規則格子の投影で作られる準周期格子の特徴を示し、そのためCsCl-型正10角形規則準結晶と呼ばれている。 3)基本の回折パターンをとる1.6nm周期の正10角形準結晶。Al_<75>Ni_<15>Ru_<10>合金の種々の熱処理条件に見いだされている。この構造は、正10角形対称のカラム状原子クラスターが2nmのボンドの長さの5角形タイリング配列をとっている。 HAADF-STEM観察から、0.4nm周期の正10角形準結晶の2nm原子クラスターの原子配列において、NiとRu原子が規則配列をとっていることを見いだした。
|