研究概要 |
本研究課題に関する本年度の計画は,昨年度に予定していた計画のうち完了できなかった部分を速やかに完了させるに加え,当初の計画主要事項である磁気熱量効果の測定を行いながら,同時に論文,学会等で適時成果を発表していくことであった.測定系は昨年度にほぼ完了しており,測定対象となる物質を絞り込みつつ,0.2K以下で第2種超伝導体ニオブのフラツクスのデピニング現象に伴い生じると期待できる発熱現象を検出すべく測定を始動していたが,測定系を搭載する希釈冷凍機(既存装置)の稼動のために必要なガスハンドリングシステムに,本年度途中で深刻な故障が生じた.これに関しては修理が困難で,かつシステム交換に200万円程度の費用が必要であり,早期に修理することが出来なかった.そこで同等の性能を有するシステムを比較的費用がかさまないように自作することにし,これに大きく時間を取られることになった.現在このシステムは9割程度完成している.さらに磁気誘起熱現象を観測するために必要不可欠な磁場を生成する超伝導磁石にも致命的なトラブルが生じ,こちらも修理に200万円程度の費用が必要であるため,現在修理に取り掛かれずに時間が経過している.よって現時点では当初計画の円滑な遂行が行なえなくなってしまっているが,対象物質に関する基礎的研究は進み,成果を国際会議などで発表することができた.昨年度のCePdAlに続き,近藤反強磁性体CePd_2Al_3,スピングラス近藤物質Ce_2NiGe_3,圧力誘起超伝導体CePd_2Si_2のPd置換物質に関する極低温圧力比熱測定の結果などを発表し,特にCe_2NiGe_3に関しての磁気熱量効果を測定することに興味を持っている.今後,上記装置のトラブルが解決され次第,磁気熱量効果を中心とした測定を速やかに再開し,将来的に多くの成果を発表していきたい.
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