研究課題/領域番号 |
12740217
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小野 輝男 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 講師 (90296749)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 強磁性ナノコンタクト / 量子化伝導 / 巨大磁気抵抗効果 |
研究概要 |
様々な金属ナノコンタクトの作製法と測定法が提案され、金属ナノコンタクトを介した電気伝導度が量子化コンダクタンスG=2e^2/hの整数倍となることが明らかとなってきた。しかし、これまでの研究対象は非磁性金属に限られ、スピン自由度に着目した研究はほとんどなかった。そこで、強磁性金属であるNiを用いたナノコンタクトの作製と電気伝導度の測定を行った。直径0.1mmのNi線をNi蒸着膜に接触させ振動を与え、Ni線がNi蒸着膜から離れる瞬間の電気伝導度をデジタルオシロスコープを用いて測定した。NiナノコンタクトはNi線がNi蒸着膜から離れる瞬間に形成されると考えられる。Ni線の磁化を飽和する程度の外部磁場を印加するとe^2/h単位の量子化コンダクタンスが観測され、外部磁場がない場合は2e^2/h単位の量子化コンダクタンスが観測される、という興味深い結果を得た。量子化コンダクタンスG=2e^2/hの2はスピン縮退由来であり、Niナノコンタクトで観測されたe/h単位の量子化コンダクタンスは強磁性体Niではスピン縮退がとけていることを示していると理解される。一方、外部磁場がない場合に2e^2/h単位の量子化コンダクタンスが強磁性体Niで観測されたことは意外であったが、Niナノコンタクト領域に閉じこめられた磁壁が関与しているのではないかと考えている。上述した実験結果は、Niナノコンタクトの構造を保持できれば(上述の実験ではNi線を引き離していくので1ミリ秒程度で切れてしまう)、量子化コンダクタンスを外部磁場により制御できることを示唆しており、強磁性ナノコンタクトのデバイス応用の可能性を示唆している。
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