研究課題/領域番号 |
12740219
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中西 剛司 日大, 文理学部, 助手 (70297761)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 梯子格子 / スピン・ラダー / 圧力効果 / 超伝導 / 低次元系 / 高温超伝導体 / 上部臨界磁場 / 装置開発 |
研究概要 |
Sr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41>はスピン・ラダー物質として超伝導を示す唯一の系である。この系の超伝導は発見されてすでに3年以上経過しているが、未だに超伝導状態の研究はほとんど進んでいない。その最大の理由は、この系で超伝導が発現する圧力がおよそ3GPaであり、これは通常よく使われるピストンシリンダー法による発生圧力の限界であるためである。この研究では、まず2K以下の希釈冷凍機温度領域においても、静水圧3GPa以上の圧力を発生でき、しかも常圧下での物性測定と同程度の精度での測定が可能な圧力装置の開発を行うことに世界で初めて成功した。さらに、この開発に成功した圧力装置と既存の希釈冷凍機および超伝導マグネットと組み合わせることにより、Sr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41>において超伝導になる組成であるx=12の単結晶試料を用いて、圧力下での電気抵抗の測定を磁場中で行うことに成功し、その上部臨界磁場の測定を行うことに世界で初めて成功した。 今回の実験により、この系の上部臨界磁場の温度依存性、異方性、およびその圧力効果を明らかにすることができた。その結果、その温度依存性は通常のBCS超伝導体の振る舞いとは異なり、下に凸の温度依存性を示すことがわかった。また、非常に異方的な超伝導状態であることがわかった。現時点で明らかとなったこの系の超伝導状態の特異な点は2つある。ひとつは、ラダー面に磁場をかけた場合の上部臨界磁場が異様に大きな値をもち、通常のBCS超伝導体に見られるパウリ限界の2倍以上の大きな値になることである。もうひとつは、ラダー面に垂直に磁場をかけた時の上部臨界磁場の温度依存性が、2次元のCuO_2面をもつ高温超伝導体の振る舞いと類似している点である。これは一方は、Cu_2O_3面というラダー格子であり、もう一方はCuO_2面という2次元面であるのでこの振る舞いがその構造によらないということを意味し、普遍的な振る舞いである可能性を示唆している。
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